家族が「逮捕」されたら…まずは何をすべきか?


-逮捕後に家族がすべき初動とは-

目次

1 はじめに

2 どこの警察署で身体拘束されるかを確認する

3 逮捕から勾留までの間(最大3日)

4 被疑者勾留の段階(最大20日)

5 起訴後、被告人勾留の段階

6 まとめ

 犯罪行為をした疑いがあり、証拠の隠滅または逃亡のおそれがある場合、捜査機関に逮捕されることがあります。逮捕されると、最大3日間の身体拘束を受け、その後、検察官が勾留請求を行い、裁判官が勾留の必要性を認めた場合は、被疑者勾留として最大20日間(原則10日間、延長により追加で10日間)の身体拘束を受けることになります。また、起訴された場合、公判(裁判)までの期間も原則として身体拘束が続くことになります。

 逮捕は通常事前に予告されることなく行われるものであり、実際に犯罪行為をしていても本人が家族に打ち明けていない場合がほとんどであるため、家族としては、意味も分からないまま、自宅を訪問した捜査機関から令状を見せられ、本人が逮捕される様子を目の当たりにすることになります(現行犯逮捕の場合は、状況も分からないまま、捜査機関から「本人を○○の被疑事実で逮捕した」と連絡を受けることになります)。このような状況に置かれたとき、被疑者家族はどのように動けばよいのでしょうか。解説します。

 自宅等で逮捕される場面に立ち会った場合は、捜査機関に対し、どこの警察署で身体拘束(留置)を受けるのかを確認してください。お住まいの地域によっては管轄する警察署に留置施設がない場合や、留置施設の定員の問題で近隣の警察署に留置される場合もありますので、実際にどこの警察署の留置施設を利用するのかという点を押さえるようにしてください。「本人」がどこで身体拘束をされるのかを知ることが、適切に対応するための第一歩です。

 逮捕から勾留されるまでの期間について、原則的には弁護人のみが被疑者と接見(面会)することができます。ただし、警察署の運用によっては、この期間内の家族の接見を認める例もありますので、逮捕をした捜査機関に接見が可能かどうかを確認するとよいでしょう。接見が可能な場合の接見のルールや差入れ可能なものは下記4⑴⑵のとおりです。

 家族の接見ができない場合(勾留決定に接見禁止がついている場合を含む)、本人と接見できるのは弁護人のみとなります。この期間内において、「本人」は、鹿児島県弁護士会より派遣される「当番弁護士」を呼ぶことができます。当番弁護士は、逮捕後の手続を説明するワンポイントの役割ですが、本人が希望するのであれば、勾留後の「国選弁護人」に就任することができます。また、「家族」は、「私選弁護人」を探すこともできます。私選弁護人は、国選弁護人とは異なり、弁護士費用を負担して弁護活動を依頼するものですが、刑事弁護に強い弁護士を自ら選ぶことができる点、逮捕直後の選任であれば勾留を阻止するための活動が可能になる点で国選弁護人とは異なる特徴があります。私選弁護を扱う法律事務所であれば、事実関係や本人の意思を確認するため正式契約の前にまずは接見に行く(日当のみが発生)という対応をとれる場合もありますので、まずは弁護士を探す方向で動いてもよいでしょう。

 この段階の選択肢としては、①当番弁護士に引き続き国選弁護人になってもらう、②私選弁護人を選任して身柄解放等の具体的な弁護活動を開始する、③特に何もしない、のいずれかになります。

 逮捕後、引き続き勾留された場合、本人が拘束されている警察の留置施設で接見をすることができます(ただし、裁判所の勾留決定に「接見禁止」がついている場合は、禁止を解除する必要があります)。

鹿児島県下の警察署における、接見のルールは次のとおりです。

・本人が勾留されている警察署の留置施設の窓口を訪ね、係員にその場で記入した必要書類の提出と身分証明書の提示を行う。

・受付時間は、平日(祝日・年末を除く)の午前8時30分~午前11時(午前の部)、午後1時~午後4時(午後の部)。

・接見は、上記受付後、午前9時30分~午前11時30分(午前の部)、午後1時30分~午後4時30分(午後の部)の間に行う(※待ち時間が生じることがある)。

・接見時間は15分以内。接見室には3人まで入室可。回数は1日1回のみ。警察の立会いあり。

 本人が勾留されている留置施設内に外部から物品を入れることを「差入れ」といいます。逮捕は、突如として行われるものであるため、一定期間の身体拘束に耐えうるだけの所持品がないことがほどんどです。留置施設内では、必要最小限の物品は支給されますが、逮捕前に普通に生活していた環境に比べると当然不十分ではあるため、不足するものを差入れすることがあります。また、被疑者勾留は最大20日間ありますが、その間、取調べや食事・入浴の時間を除き、空き時間となるため、時間をつぶせる物品の差入れを希望される方も多いです(新聞、雑誌、書籍等は、備え付けもある)。さらに、留置施設内で買物も可能であるため(石鹸や封筒、お菓子、食事の際の総菜等)、物品ではなく、現金を差し入れることもあります。

 留置施設内の保安上の問題が生じるもの、保管ができないもの、使用できないもの、検査ができないものの差入れは認められておりません(たとえば食品・飲料、医薬品等)。鹿児島の留置施設で差入れができるものは、①現金(1日3万円以内)、②衣類(2、3日分。自殺防止の観点から伸縮性がないもの、ポケットがないもの、ひもや装飾品がないものといった制約あり)、③書籍(1日3冊まで。小説・漫画も可)、④切手・封筒・便箋などになります。窓口での差入れが基本であり、やむを得ない事情がある場合に限り郵送での差入れが認められることがあります。

 勾留後、「本人」は、「国選弁護人」を選任することができます(当番弁護士に頼んだ場合は継続して国選弁護人になります)。国選弁護人は、貧困等の理由で自ら弁護人を選任できない場合(原則として資産50万円未満)に国が選任する弁護士で、費用負担はありません。また、国選弁護人は、鹿児島県弁護士会内で名簿に登録している弁護士の中から選ばれることになります。一般的に、国選弁護人は本人と接見した後、家族に連絡をすることが多いですので、このタイミングで国選弁護人が就いたことを知ることになります。

 また、この段階で「私選弁護人」をつけることもできます。本人が国選弁護人を選任したことを知らずに家族が私選弁護人をつけた場合、私選弁護人が捜査機関に弁護人選任届を提出したタイミングで国選弁護人は解任となり、私選弁護人に一本化されます。私選弁護人は、「本人」または「家族」が自ら弁護士を探して選任するため、弁護士費用の負担が発生しますが、業務として私選弁護を扱う弁護士は刑事事件に精通しておりますので、「本人」にとって、最良の弁護活動を実現できる可能性が高くなります。弁護士次第ではあるため一概にはいえませんが、国選弁護人と私選弁護人で違いが現れやすい部分としては、①接見の頻度、②身柄解放のための活動(準抗告・勾留取消)、③示談等の弁護活動の速度、④不起訴意見書の作成、⑤家族への連絡の頻度が挙げられるかと思われます。私選弁護人は「本件の事案でできることはすべて実行する」というのが基本スタンスとなります。

 国選・私選を問わず、弁護士は上記⑴のような制限なく、本人と接見することができます。また、被疑事実について、警察の立会いなく話をすることができるため、取調べでどのように回答すればよいか等、戦略的なアドバイスをすることや、外部と遮断され不安になっている本人の精神面をフォローするという役割を担っています。

 この段階の選択肢としては、①国選弁護人で手続を進める、②私選弁護人をつけて手続を進める、のいずれかになります。

 被疑者勾留後の検察官の処分において、起訴(刑事裁判)となった場合、身体拘束が継続することになります。起訴後の勾留を被告人勾留といい、保釈等で勾留が解かれる場合を除き、公判(裁判)で判決がなされるまで、勾留が続きます。

 起訴されてしばらくの間は、被疑者勾留と同じく警察署の留置施設で勾留されますので、警察署で接見することになります。公判期日が近づくと、いずれかの段階で拘置支所に身体が移されますので、従前のように警察署に接見に向かうと「身柄が拘置支所に移された」と伝えられることになります。拘置支所の収容可能人数等も影響するため、身柄が移されるタイミングについては、警察署に確認するほかありません。

鹿児島拘置支所での面会のルールは次のとおりです。

・拘置支所の窓口を訪ね、所員にその場で記入した必要書類の提出と身分証明書の提示を行う

・受付時間は、平日(祝日・年末年始を除く)の午前8時30分~午前11時30分(午前の部)、午後1時~午後4時(午後の部)

・面会時間30分程度。所員の立会いあり。裁判未決者は誰でも面会可(1日1組3人まで)、裁判既決者は親族のみ面会可。

 また、差入れについては、面会と同じ時間内において申請が可能であり、現金、下着・衣類、書籍、切手・封筒などが対象であることは警察署の留置施設と変わりません。なお、拘置支所の場合、郵送での差入れに対応しています。

 起訴前から国選弁護人が就いている場合、起訴後も継続して同じ弁護士が国選弁護人を務めます(私選弁護人も同様)。そのため、通常は、起訴後に改めて弁護人の選任を考える必要はありませんが、被疑者段階の弁護人の活動に満足がいかない場合、保釈請求や公判期日に備えて万全にしておきたい場合などは、国選弁護人を私選弁護人に切り替えたり、私選弁護人を別な弁護士に変更したりすることもあります。このような事態は、弁護人と本人または家族との間のコミュニケーションに問題があるときに起こり得るため、まずは、いまの弁護人を話をしてみて、その説明に合点がいけば継続、納得できるものでなければ切り替えと考えればよいものと思われます。公判期日の準備や尋問練習等の時間が必要になるため、弁護人の切り替えをするのであれば、なるべく早い段階(公判期日まで時間的な余裕がある段階)で新しい弁護人を選任してください。

 今回は、突如として家族が逮捕されてしまった場合の対応について解説しました。逮捕された「本人」が最も動揺している状態ですので、「家族」としては、冷静に状況を確認し、「本人」のためにどのような動きをするのか、上記を参考に考えていただければと思います。家族が逮捕されてどうすればよいのか?と分からなくなってしまったときは、遠慮なく弊所までご相談ください。


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